美山荘 京奥の料理旅館
花背のひとしずく
光彩を宿す
美山荘とは
美山荘は、京の奥座敷・花背の山懐に位置する
明治創業の料理旅館です。
お食事、豊かな自然、しずかな時間を
お過ごしください。
山伏修行の宿坊として
美山荘の歴史は、明治二十五年、春日大社の社家であった初代が、大悲山峰定寺の復興に思いを寄せて花背の地に移り、宿坊をひらいたことからはじまります。峰定寺は、平安末期に鳥羽上皇の勅願により建立され、大和天川村の大峯山に対して「北の大峯」と呼ばれた、由緒ある修験の行場です。初代夫妻はその塔頭を譲り受け、旅の修行者をもてなしました。
山人の野趣、茶の湯の風雅、 同時代的感性
そして、昭和十二年、料理旅館としての営みを開始します。三代目中東吉次より茶の湯の趣と平安貴族の雅な風習「摘草」をとりいれた「摘草料理」をひとつの中心に据えながら、「気づかいすれどおかまいなし」の心でお客さまをお迎えしています。
いまこの時代の感性と野性を大切に、花背の地域文化を食によって昇華しつづけることで、皆さまに慕っていただける料理旅館をこころざし、日々、実践を重ね、研鑽を積んでゆきます。
摘草料理
平安貴人の野遊びから着想を得た「摘草料理」。
料理人が自ら採った山川の恵みを、
四季折々の工夫で召し上がっていただきます。
摘草料理の源流
「摘草」の起源は、万葉集に遡るといいます。平安時代の貴人たちは、野に出て、四季の移ろいを身体で楽しみ、愛で、自然の中に生かされることをよろこび、手折った若菜を食し味わいました。美山荘の摘草料理は、三代目がこの遊びを取り入れ、名付けたものです。
〈君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ〉という百人一首の歌には、光孝天皇が春の雪を袂にうけつつ、愛しい人のために摘草をする様子が詠まれています。
弥生の季語にもなっている「摘草」。冬を偲び、春を待ち侘びる刻、雪解けの土の中から、頭を出した蕗の薹を見て、古人の心は躍り、満ちてゆく。人と自然とが結ばれる瞬間がそこにあります。
山野草、魚、獣。気韻生動。
その昔、花背の鮎は献上鮎として、御所に納められていました。たえず滔々と流れ続ける清流とその水の中で新鮮な苔を食べて育った香り高い鮎は、この奥山でしか味わえない逸品のひとつです。
日毎に山や川辺に行き、料理人自らで摘み取った山野草、釣り人や猟師から仕入れる山と川の恵み。美山荘では、この花背の土地を、料理人の様々な趣向と技術を凝らして、心ゆくまでご堪能いただきます。
奥山の景色と遊びが結晶化するとき
美山荘四代目 中東久人は、摘草料理を発展的に継承し、様々な表現を模索しています。
幼少期から花背に暮らし、山に入り、川に潜り、雪に埋もれながら、十分に身体に染み込ませた遊びの記憶。十代で渡仏し、地域のオーベルジュで修行を積んだ時の衝撃。フランスの食と人とをとりまく時間の流れ方、接客、自国文化への愛に心動かされた経験。様々なものやことが交わり多様化するこの時代に、美山荘は、新しい食の時間とそこから広がる可能性を試行し続けます。四季折々の創意工夫をどうぞお楽しみください。
ー お昼またはお夕食
お一人様
18,000円(基本料) / 22,770円(税・サ込み価格)
23,000円(基本料) / 27,830円(税・サ込み価格)
28,000円(基本料) / 33,880円(税・サ込み価格)
コースにより金額が異なります。
詳細はお電話にてお問い合わせくださいませ。
ご宿泊について
自然と文化、山と人との境に位置し、
木々や川の息吹をへだてなく感じられる数寄屋建築で
心やすらかなひとときをお過ごしください。
数寄屋建築の名工が手がけた空間
峰定寺の塔頭、平安建築の名残ある母屋をはじめとした建築は、数寄屋の名匠中村外二工務店によって改修されました。
別棟にある客室内の一際大きなガラス窓、すぐそこに流れる清流に迫り出す川床、刻ごとに表情を変える土の壁、差し込む光。建物の中にいることを忘れるほどに、木々のゆらぎや川のせせらぎをすぐ肌に感じられるこの造りは美山荘の大きな特色です。
呼吸する文化
名代の文化人の心をほどき、楽しませてきた、美山荘の遊び心と歴史は、室礼の中にも存分に顔を覗かせます。東大寺の清水公照や版画家徳力富吉郎らが訪れ描いた襖絵や茶の湯に親しんだ先代が様々な場所で蒐集した、どこか素朴で愛らしく、美しい物の数々。
女将によって室内に入れられた草花もまた、花背の山からのもの。山の中の部屋、部屋の中の一輪の自然。境界が溶け合い、反転し、まざりあうような空間の妙をお楽しみください。
気づかいすれど、おかまいなし
美山荘の接客は「気づかいすれどおかまいなし」を信条としております。お客様に、ただゆっくりと、ご自身の静かな時間をお過ごしいただけますように、と心を尽くしてお待ちしております。
ー ご宿泊
お一人様 60,000円(基本料) / 75,900円(税・サ込み価格)
ご夕食、朝食を含みます。詳細はお電話にてお問い合わせ下さいませ。
チェックイン 15:30
チェックアウト 10:30
花背のこと
古くは天皇の御領地であり、
文化人に愛されてきた花背。
失われゆく風習や祭りがいまだ残るこの地域で、
美山荘は、地域づくりに取り組んでいきます。
花背と美山荘
花の美しい北山の懐、花の背にある里山。古くからの風習、伝統、信仰。山と共に生き、火の祭りが息づくこの地域は、平安時代以降には、天皇の御領地として、御所には材木を送り、文人の隠れた避暑地としても知られていました。
一方で、高齢過疎化がすすみ、環境破壊による鹿の増加によって植生に重大な変化が起きているなど、様々なことがうつろっていく現代、地域資源を見直し、この地域の力を再発見していくべき時に立たされています。
百二十年余り、花背にある料理旅館として、地域をつくる料理旅館として。食と様々な体験を通じて、今の時代の美山荘らしい地域の活動をつくっていきたいと考えています。
お取り寄せ
京都の奥懐・花脊の地で120年余りの時を刻む
「野草一味庵 美山荘」
土地の趣をふんだんに取り入れた
“摘草料理”をお届けします
美山荘
京都府京都市左京区花背原地町375
※お車でお越しの場合は、鞍馬温泉(府道38号線)を通るルートをご利用ください。
特に名古屋・岐阜よりお越しの場合は、道幅狭小の為、百井峠(国道477号線)ルートをお控え下さい。
お食事・ご宿泊についてのお問い合わせ、ご予約はお電話でご連絡ください。